The 23rd Symposium on Fusion Technology
(23rd SOFT 2004)


松川 達哉

(三重大学工学部電気電子工学科)


2004年9月20日から24日までの期間,第23回核融合技術会議(The 23rd Symposium on Fusion Technology : 略称23rd SOFT 2004)が開催されました。学会誌Vol.81-01月号に本報告が掲載されます。次回は2006年9月11日から15日の期間で,ポーランドの首都ワルシャワで開催されます.





 2004年9月20日から24日までの期間,Consorzio RFXがホスト機関となって,イタリアのヴェネチアにおいて第23回核融合技術会議(The 23rd Symposium on Fusion Technology : 略称23rd SOFT 2004)が開催された。この会議は隔年毎にヨーロッパで開催されているもので,今回で23回目を迎えるに至った。開催場所がヨーロッパの諸都市であることや,Euratom-ENEAおよび欧州各国の研究機関が主催するので,参加者の割合としてはヨーロッパが中心となるが,米国や日本など他の地域からの参加・発表も多く,毎回活発な発表討議が行われている。会議で取り上げられる内容は,およそ核融合研究における工学分野の全てに及んでおり,その時々の核融合研究の工学的技術に関する成果や最新の研究開発動向が網羅的に取り扱われる。



 さて,今回の会議は開催場所が歴史のある海上都市ヴェネチアということで,この地にふさわしい運営がなされていた。まず,会議場はサン・マルコ広場の対岸にあるサン・ジョルジョ・マッジョーレ島のジョルジョ・チーニ財団所有の建物であり(写真は,運河側から見たサン・ジョルジョ・マッジョーレ島の遠景と会議場建物の中庭),今回のような学術的国際会議を行うにはその環境は絶好の会場であった(参加者のための毎朝夕の送迎用水上シャトルバスが,サン・マルコ広場とサン・ジョルジョ・マッジョーレ島間で運航された)。また,Social programmeとして,初日の歓迎レセプションがサン・マルコ広場に面するドゥカーレ宮殿で,火曜日にはオーケストラコンサートがサン・マルコ寺院で,そしてバンケットがリド島のホテルで行われるなど,ヴェネチア色豊かなものであった。

 

 会議のプログラムは,口頭発表のplenary sessionとoral session,およびポスター発表のposter sessionが中心で,その他にパネル討論会(round table session) や企業・研究機関によるブースでの展示で構成されていた。更にその合間には各種のsatellite meetingが,特定の議題で開催されていた。また,パドヴァにある今回のホスト機関Consorzio RFXを訪問するバスツアーもあり,建設中の実験装置RFXを見学することができた。

 

 事前のabstract bookに掲載された講演件数は,約470件余りであり,それらの内訳は以下のとおりである。

a. Current and Next Step Devices ・・・・・・ 16件
b. Plasma Heating and Current Drive ・・・・・・ 65件
c. Plasma Engineering and Control ・・・・・・ 31件
d. Diagnostics, Data Acquisition and Remote Participation ・・・・・・ 55件
e. Magnets and Power Supplies ・・・・・・ 60件
f. Plasma Facing Components ・・・・・・ 54件
g. Vessel-in vessel Engineering and Remote Handling ・・・・・・ 27件
h. Fuel Cycle ・・・・・・ 14件
i. Materials Technology and Breeding Blankets ・・・・・・ 106件
j. Power Plants, Safety and Environment, Socio-economics ・・・・・・ 42件
k. Transfer of Technology ・・・・・・ 3件

 

 発表全体のうち口頭発表でおこなわれた件数は40件余りで,ほとんどはポスター発表であった。口頭発表では,ITERやIFMIFの報告の他,現在運転中の実験装置(JET, JT-60U, Tore Supra, D。-D, ASDEX Upgrade, MAST等)の現在までの成果とこれからの計画,建設中あるいは調整試験中の実験装置(Wendelstein7-X, EAST, RFX, LIL-LMJ等)の現状などが紹介され,更に超電導コイル技術,先進的材料開発など核融合関連技術の総括的報告なども行われた。また,ポスター発表は毎日ふたつの部屋で同時進行で行われたが,当日のポスター掲示が取り消されたものは極少なく,いずれの発表会場でも個々の内容に関して熱心な議論が交わされていた。

 特に今回の会議で特徴的であったことは,時期的なことも相俟ってと思われるが,ITERの建設を念頭においてITER関連の(あるいはITERに直結する)内容の発表が数多くあったことである。例えば,ITERの各コンポーネントに関するR&D,各コンポーネントのプロトタイプ機の製作・試験関連,あるいは既存の実験装置でのITERに寄与できる成果を目指した研究など多彩であった。当然のことながら,ITERの建設候補地のひとつであるカダラッシュについては,展示ブースでのPRを始め,サイト準備に関するポスター発表など誘致に向けた具体的な内容のものが多くあった。

 尚,参加者総数は,25カ国から約570名を数え,そのうち参加者の多い国としては,ドイツ(EFDAメンバーを含む)が筆頭で全体の25%弱,次がイタリアとフランス,そして日本という順であった。次回の会議は,2006年9月11日から15日の期間で,ポーランドの首都ワルシャワで開催される予定である。

 

 


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最終更新日:2004.12.24


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